歌人・在原業平が祀られていることの真偽 「上賀茂神社の岩本社」
徒然草(第67段)には以下の通り記されている『上賀茂神社の摂社である岩本社・橋本社の祭神はそれぞれ在原業平と藤原実方である。人がいつも混同し言い違えるので、ある年参詣した折に年老いた神職が通り過ぎたのを呼び止めて尋ねたところ、(以下本文へ~)
Updated Date : 2023-07-06 14:55:33
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「実方は、かつて御手洗川に姿を映した所に神として鎮座するとありますので橋本社でしょうか、こちらがより水の流れに近いのでそうであろうと思います。吉水和尚(慈円僧正)が、「月をめで花をながめしいにしへのやさしき人はここにありはら(月を賞し花を眺めた、昔の優美な歌人が、いまここに鎮まっている、在原業平である)とお詠みになったのは岩本社のことだと伺っておりますが、このようなことは自分たちより、あなたの方がかえってよくご存じでございましょう」とたいへん丁重に語ったのが、実に殊勝に思えたことである』。
ところでつい最近のこと、凡人が同じような場面で岩本社の祭神を尋ねると、現代の神職は業平の祭神説には否定的であった。
一方「小説伊勢物語・業平」には業平が藤原高子との恋を断ち切るために御手洗川で禊ぎをおこなったとのくだりがある。「恋せじとみたらし川にせし禊ぎ神はうけずもなりにけるかな」(もう恋はすまい、との思いで御手洗い川にて禊をいたしましたが、どうやら神様は受け付けてはくださらないままにおわってしまった)。 さても在原業平は岩本社の祭神や否や、随筆の古典と現代の神職の話のいずれが正しきや、知見の方あらばご教示ねがいたい。
上賀茂神社の境内を流れるならの小川
「風そよぐならの小川の夕ぐれはみそぎぞ夏のしるしなりける」(藤原家隆)
(神職のみそぎの情景を詠んだ歌)。
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上賀茂神社の末社・岩本神社
祭神は,底筒男神,中筒男神,表筒男神の三柱(交通安全の神)と表示されている。 歌人の守り神としての信仰が篤い神社という話は、上賀茂神社側からは聞こえてこないのだが・・。
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小説伊勢物語 業平(高樹のぶ子)と徒然草 兼好法師(小川剛生)訳注
有原業平は六歌仙・三十六歌仙の一人で、伊勢物語の主人公とされている。
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